全身から心臓に血液を戻してくるときに血液が通る血管を静脈といいます。腕に青く浮き上がっていたり、採血をする血管は表在静脈です。一方表面から見えず、奥にある静脈を深部静脈といいます。深部静脈血栓症(DVT)とは、下肢(通常はふくらはぎや大腿部)や骨盤の深部静脈で血液の流れが滞り、血栓ができて血管が詰まってしまう病気です。
深部静脈血栓は上肢(腕や手)に生じることは少なく、大部分が下肢に発生します。
深部静脈にできた血栓がその場所からはがれ、肺にとんで肺の血管につまることを肺塞栓症といいます。
足や体を動かさない状態が続くとハイリスクです。寝たきりの方、座りっぱなしの体勢、手術後安静状態では起こりやすくなります。
また血液が固まりやすい体質、がん患者さん、肥満、ピル内服なども関連があります。
典型的な症状は、急に現れる片側の足の腫れです。血栓がどこに詰まったかによって、腫れる範囲は異なります。腫れと同時に痛み、皮膚が赤くなるなどの変化がみられることもあります。
また肺塞栓を合併した場合、突然の息苦しさや胸の痛みが出現します。重篤な場合には突然死することもある病気です。
血液検査で、血栓ができた際に上昇するDダイマーという数値を測定します。また超音波検査で足や骨盤の血管を見ることでどこに血栓があるかを調べます。
肺塞栓症を起こしているかは造影剤を用いたCT検査などの評価が必要となります。
抗凝固薬と言われる、血栓を溶かす薬の内服が中心となります。肺塞栓の場合には、状態観察のため入院が必要になる場合が多いです。
一般的には血栓が消失した後も、半年程度内服継続を行います。
また一度血栓ができた方は再発する可能性があり、弾性ストッキングの着用が勧められます。
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急に片側の足が腫れてきたら、この病気の可能性があるのですぐ病院を受診しましょう。肺塞栓症を起こす前に診断して治療することが望ましいです。